計算し尽くされた集団戦!「ワールドトリガー」の魅力について【漫画レビュー】

 

 

現在「ジャンプスクエア」で連載中のワールドトリガー(以下ワートリ)という漫画があります。

 

2014年にはアニメ化され、さらに2020年現在アニメ第2期の放送が決定し、最新話の発売日にはTwitterでトレンド入りしたりと最近盛り上がりを見せている漫画でもあります。しかし、まだちゃんと読んだ事のない人も多いのではないでしょうか?

 

ワートリは読めば読むほど面白さが増していく漫画なので、もし序盤で読むのをやめたり食わず嫌いしているならとても勿体ないです。この記事では少しでも多くの人に面白さを知ってもらうためにワートリの魅力を紹介していきたいと思います!

 

 

 

 

 

 あらすじ

異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!? 最新型SFアクション!!

       (引用 集英社週刊少年ジャンプ」公式サイト)

 

ざっくりとした内容は以上の通りですが、これだけではわかりにくいので詳しい内容を解説していきます。 

 

主人公は4人

葦原先生曰く、ワールドトリガーの主人公は「修、遊真、千佳、迅の4人」だそうです。 その4人の中でも修と遊真を中心とし物語は進んでいきます。

 

空閑 遊真

 

 中学3年生。異世界の住人の「近界民」。

 

三雲 修 

 

 中学3年生。ボーダーという組織(後述)に入っている。

 

雨取 千佳

 

 中学2年生。修の幼馴染。

 

迅 悠一 

 

19歳。ボーダー隊員で未来を視ることができる。

 

 

作品の概要 

舞台は異次元からの侵略者「近界民」がやってくる三門市。街を破壊し人を連れ去る近界民から人々を守っていたのは界境防衛機関「ボーダー」でした。物語はボーダーの訓練生の修が、ある日近界民である遊真と出会ったところから始まります。そこから、友人を守るため、そして近界に連れ去られた人を探すため、主人公達が各々の目的を胸に近界民と戦うというストーリーです。

 

それでは、あらすじだけでは伝わらないワートリの魅力について紹介していきましょう!

 

ワールドトリガーの魅力

魅力その1・集団戦としての面白さ

 

ワートリの魅力は何と言っても、他の漫画とは一味違う頭脳戦です。

 

多くの少年漫画のバトルシーンではタイマン戦闘がメインとなることが多いですが、ワートリのメインは集団戦です。登場人物達は「どうすれば勝てるか?」を知恵を振り絞って考えバトルをするのですが、この時個々の特性や役割、さらにチームの強みを生かして戦術を考えたりする所に集団戦ならではの面白さがあります。

 

 

f:id:shenosekai:20210305181014j:plain

引用 ワールドトリガー JC8巻

 

例えば上のランバネインという敵と戦うシーンでは、 圧倒的な火力を持った彼に対し、数の優位を生かすことで彼の意識を分散させ最終的に勝利を収めます。

勝負をタイマン勝負で終わらせず1vs多数もしくは多数vs多数で戦い、さらにその描写もロジカルなので他の漫画とは一味違った面白さを味わうことができます。

 

また、登場人物達は戦闘員1人〜4人、オペレーター1人でチームを組むのですが、このチームによってとっている戦術も違うのも面白いポイントです。

あるチームはエースが暴れて他の隊員はエースのサポート、またあるチームは隊員全員が高い機動力を持ってることを生かした戦術など、新しいチームが出てくる度「このチームはどんな戦い方をするのだろう?」とワクワクさせられます。

 

魅力その2・独特の戦闘システム

ワートリでは「トリオン体」という戦闘用のボディを使って戦うのですが、このトリオン体で戦うことによって生身の体が傷つけられずに済みます。

よくワートリはディスり文句として「緊張感が無い」と言われていますが、トリオン体のおかげで滅多に人が死なないからこのようなことを言われてしまうんですよね。ですが、私は人が死なないことによって生み出されるスポーツ漫画感に魅力があると思っています。

 

スポーツ漫画って、当然ですが人が死なないですよね。試合に勝つ展開も負ける展開もどっちもあり得る。だから「この試合で主人公達は負けてしまうんじゃ・・・?」とハラハラドキドキさせられます。

ワートリもこれと一緒で、人が死なないからこそ展開がどう転ぶのか判断できず、逆に「主人公たちは勝つのか?負けるのか?」とドキドキさせられるのです。 

また、ワートリで使用するのはトリガーと呼ばれるオリジナルの武器。味方サイドの登場人物はこのトリガーの中から自分にあった武器を選んで戦うのですが、同じポジションでも使用するトリガーによって一人一人戦闘スタイルが違いますし、また同じトリガーを使っていたとしてもその活用方法が人によって異なったりします。

 

例えば、作中でも主人公の遊真が使用しているスコーピオン」というトリガー。

 

f:id:shenosekai:20210304184700j:plain

引用 ワールドトリガー JC4巻

 

スコーピオンはいわゆる剣なのですが、手以外の場所から生やしたり、剣の形以外にも自由自在に変形させることが出来たりするため、作中では様々な形で活用されています。

 

 

f:id:shenosekai:20210304185032j:plain

引用 ワールドトリガー JC22巻

こんな突拍子もないスコーピオンの使い方も・・・

 

武器の使い方1つでもキャラの個性が出るので非常に面白いですね。 

新しいキャラやチームが出てくるたびに「この人はどんな戦い方をするのだろう?」と予想するのも楽しいポイントです。

 

魅力その3・作り込まれた設定

実は、ワートリはかなり細かいところまで設定が作り込まれています。

防衛機関を中心にストーリーが進むため、膨大な数(名前のある隊員だけで100人くらい)の登場人物がいます。当然登場回数が少なく一見モブに見えるキャラも出てくるのですが、こう見えて全員にキャラクターとしてきちんと背景が設定されており、誰一人としてモブがいないのです!

ワートリには「BBF」という公式データブックがあるのですが、ここには各キャラクターのパラメーター(戦闘能力)、使用武器、さらには入隊時期や通っている高校(クラス分けまで!)などなど、沢山の情報が詰め込まれています。

 

関連記事 【ワールドトリガー】公式ファンブック「BBF」がすごい!ネタバレ感想も - モラトリアム人間。

 

本編を一度さらっと読んだだけでは気がつきづらいですが、それぞれのキャラクターに注目することで個性や人間関係などがどんどん見えてきます。さらにBBFや表紙裏で明かされる設定(これも面白い)を読むと、「この2人仲良いと思ってたけど同じクラスだったのか!」とか、「まさか〇〇と××が昔チームを組んでたなんて・・・!」と新しい発見を得られるのです。

しかも、作者の葦原先生はしっかり設定を考えられる方なので矛盾や無理な設定もなく、簡単に世界観に入り込めます。沢山の魅力的なキャラクターがいるので、あなたの好きなキャラもきっと見つかるはず。

 

魅力その4・最弱の主人公・修

BBFではキャラクターの強さの数値が公表されているのですが、この数値がしっかりと決められ戦闘描写に反映されているおかげでワートリではパワーバランスが崩壊しません。ですから、「主人公が負けたけど、何かイロイロあってパワーアップして次は勝てた!」ということも起こらないのです。

さて、そんなシビアなワールドトリガーの世界ですが、「作中最弱キャラは?」とファンに聞けば間違いなく「修」という答えが返ってくるでしょう。そう、彼は主人公なのにめちゃくちゃ弱いのです!

世界観がシビアすぎる故に主人公補正がかからない修。そんな彼ですが自分達の目的を叶えるために奮闘します。実力の無い修のできることはかなり限られています。だけど彼はその時に自分のできる最大限のことをする。この姿勢がとてもかっこいいのです。

 

 

f:id:shenosekai:20210302224952j:plain

引用 ワールドトリガー JC第1巻

 

時には格上の相手に挑んだり無茶をしたりします。策を考えて挑むのですが、相手も馬鹿じゃ無いから普通に対応されてしまうことも多い。修より指揮能力の高いキャラクターも沢山います。だからこそ、その中で格上の相手に一矢報いた時の爽快感は計り知れないものになっているのです。

関連記事 ワールドトリガーの名言9選 - モラトリアム人間。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ワートリは一読しただけだと全ての面白さが伝わらなかったり、序盤で脱落してしまったりしがちですが、何はともあれまずは4巻まで読んでほしい、というのが一読者の願いです。(4巻からは「黒トリガー争奪戦」という章が始まるのですが、このあたりから集団戦の要素を感じることができます)きっと楽しい世界が広がっているはず。

最後まで読んでいただきありがとうございました。